冷たい朝
なつ
めがさめたら、
ヒロトはおとなりにいなかった。
またあの頃にもどったのかなって体をおこしたら、
食べものの匂いがして、ほっとする。
ヒロト、あさごはんしてる。
息を吐くぼくが、よくわからなかった。
あの頃にもどっていないって分かっただけで、
どうしてこんなに、心がおちつくのだろう。
ゆっくりと歩いたら、ヒロトが少しだけ眉を寄せてこちらを見た。
「あー起きる前にいろいろすませたかったんだけど。
起きたのな。おはよ」
「うん、うん。
おはよなの」
ヒロトがテレビをつけて、またキッチンの方へもどっていく。
きっと、見ていろって言っているの。
ぼんやりとながめていたら、
急に画面が光かがやいておどろく。
大きな音をたてて、テレビの中がキラキラとした。
「ヒロト、ほしが、たくさん」
「ん?あー花火大会のニュースか。
お前に花火大会は無理。
そもそも人も多いし面倒くさい」
「はなび?」
たくさんの色が、はじけるみたいだった。
広い空に、すいこまれていくみたい。
「それも、夏の風物詩」
「なつ」
ぼくの知らないなつは、
まだまだ、たくさんあるみたい。
風物詩…
あの頃に戻るなんて有り得ないから、【今】に安心してホッと息を吐いて当然だよネ♪
知らなかった季節、それぞれの風物詩、絋斗サンに沢山教えて貰えるとイイね☆
手持ち花火から経験させてくれるかも…?