冷たい朝
あさ
ごはんをたべて、
お風呂にはいって、
まだまっくらな空をながめていたら、
ヒロトはぼくをソファに寝かせたよ。
寝たら、朝がくるんだって。
ぼくは、あさがみたいの。
「ここ、ふかふか、やわらかい」
「それソファで、ベッドではないけどな」
「こんなところで、寝て良いの?」
「嫌だけど、仕方ないだろ。
俺が朝陽を連れ帰ってしまったんだから」
心がうれしいっていう。
思わず口元がほころびそうになるけれど、
顔がはれ上がっていて、上手くうごかせない。
「何」
「あさひ、名前、嬉しい」
「はいはい、分かったから早く寝ろ。
起きてられると面倒くさい」
「うん」
ヒロトは、めんどうくさいっていう。
めんどうくさいっていうけれど、痛いしない。
ぼくはここで、何もしなくても良いのかなぁ。
しばらく天井をながめていたら、まぶたがおもくなってきた。
何度も外を確認するけれど、光はもれてこなくて、
まだまっくらやみだとおもう。
起きても朝がなかったら、どうしよう。
そしたらぼくは、朝を探しにいきたいの。
――意識がなくなったとおもうと、すぐに目がさめた。
体中が、いたくてたまらない。
熱くて、いたくて、指1本動かしたくない。
息するのも苦しいなかで、
朝がみたい、朝がみたいってとなえていたら、
ふと、痛みがやわらいだ。
そっと目をあけたら、ヒロトがいて、胸に手をあててくれている。
「……あ、また、いたみどめ」
いたいがなくなると、ねむくなる。
ヒロトの痛み止めは、いつも、すぐにきくよ。
大きなため息とともに体がふわりと浮く感覚がして、
背中にやわらかさを感じる。
施設で寝たベッドに似ているけれど、それよりもふかふかとしていた。
「ソファで寝かせて毎回騒がれたらたまったものじゃない。
添い寝なんか最悪だけど、仕方ないからここで寝ろ」
ヒロトの声が、隣からきこえる。
ベッドで、ふたりでよこになっているみたいだ。
「…・…ふか、ふか」
「うっせ」
すぐよこに、誰かがいる。
それは、これまでのどの睡眠よりも安心する気がした。
そっかぁ
雨が落ち着いて来ましたが、次は台風だそうです。お出掛けの際にはお気を付けくださいませ。