冷たい朝
おかえりとさよなら
少し眠っていたと思う。
冷たくて、寒くて目をあけたら、体はみずびたしになっていた。
目の前に施設長さんとエーさん、ビーさんがいて、
ビーさんは、バケツをもっていた。
きっと彼が、お水をかけたのだとおもう。
「お前さ、春がいなくなってるんだけどー?」
施設長さんは、笑っていた。
笑っていたけれど、少しだけ苛々していることも分かる。
「どうして教えなかったの?
足音とかで、気づいたよね?」
「春、さよなら?」
「お前さ、ほんと嫌いだな。
何にもわかってないし、馬鹿だし。
人形みたいだ。
人になりきれてないんだよ」
「にんぎょう?」
初めて呼ばれた呼び名だった。
「あは、人形!それいいですね、人形ちゃん!人形ちゃん!」
エーさんが、僕を指さして笑う。
もしかしたら、お名前かもしれなかった。
初めての、お名前。
そう思うと、胸がどきどきした。
僕にもついに、お名前ができたのだろうか。
「ねぇ、聞いてんの?」
おなかに痛みがはしって、けられたのだと分かる。
昨日食べたパンがおくちから出そうになって、必死にこらえた。
せっかくあけてもぐもぐ食べたのに、出たらもったいないの。
~ Comment ~
あさひ君。表現方法が判らないだけで、いっぱい感じとっていたのですね。うんうんうんうん。キラキラ朝は必ず来るからね。
あー、辛い
冷たい春でどれだけの涙が出たかわからないのに、こちらでも泣かされております(苦笑)
これから朝陽ちゃんに幸せが来るのわかっていても辛い。
どの子も可愛いけれど、私にとって朝陽ちゃんはなんだか特別。
子供4人成人して、孫が二人も居るのに、朝陽ちゃんのお話を何度も何度も読み返しては(特に「大切」と「ぼくのこころ〜」のお話)大泣きしています。孫に「ババ痛いの?」と言われ、「そう、ババは痛い人なの」と娘に返される程目が真っ赤(笑)
それでも、読まずにいられない。なんて中毒性の高いお話なんでしょう。すっかり嵌っております。20年前のスカート無理矢理はいて、脱げなくなったように嵌っております(笑)
これからも、素敵で痛くても、最後は優しさに包まれるお話を楽しみにしています。
こちらのサイトに移動して頂き、とっても嬉しいです。こちらだとカテゴリーがあって読みやすいので、朝陽ちゃんにばかり逢いに行かせて頂いております。どの子も大好きなんです。でも、でも朝陽ちゃんは特別。あー、ババが読み聞かせも、箸の持ち方も教えた〜〜いッッッ‼︎
アレもコレも教えた〜〜いッッッ。でも、高槻さんが怖いので、ジッとこちらから見守らせて頂きます。
一雨毎に涼しが増し、肌寒さを感じる今日この頃ですね。どうか、お身体にお気を付けて、風邪などお召しになりませんように。