冷たい朝
おかえりとさよなら
春のすすり泣く声は、ずっときこえたよ。
ぼくは、朝がどうだったのか、
おひさまがどうだったのか知りたかったけれど、
春にはなしかけることはできなかったの。
こっそりとおへやをのぞいたら、
春はみやぎさん、みやぎさんって言ってないてた。
あわせてあげたいなぁって、おもった。
春が泣きながらあいたがっているみやぎさんという人に、あわせてあげたいの。
ぼくは春におかえりっていって、
また絵本をよんでほしかったけれど、
春があいたいのはぼくじゃないから、やめたよ。
おへやにかえったら、施設長さんがポテトチップスをたべながらにっこり笑った。
「春が出ていかないように見張ってるんだよ」
みはる?
ぼくは、首をかしげた。
あんなに外に会いたい人がいるのに、
どうして外に出ちゃいけないのだろう。
「ちゃんと見張ってないと、怒ってお前のことどうするかわかんないよ」
「どうするの?」
「さあ、もうぐちゃぐちゃだけど、もっとぐちゃぐちゃになっちゃうね」
それは、こまるの。
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朝陽を連れ出してあげて 泣泣泣