冷たい朝
くらやみ
パンにかぶりついて、たくさんかむ。
たくさんかんだら、お腹いっぱいになるって、誰かが話していた気がするの。
おへやの隅には、絵本の小さな紙が1つだけ残っていた。
ほかはかたづけられたみたい。
その紙をぎゅっとにぎって、天井をみあげた。
ぼくはずっと、くらいところしかしらないの。
いつか、朝がみられるようになったり、するのかなぁ。
おとうさんとおかあさんが、誰かわからないし、
施設長さんは、ここで僕をなぐったりすることがすきだから、
きっと出してはもらえないのかなぁ。
「まっくら」
ずきずきと痛んで、困ったと思う。
生まれてこなければよかったと高槻さんはいっていたけれど、
そしたらぼくは、どうしてここにいるのだろう。
体を丸めると、痛みと寒さが少しだけやわらぐような気がした。
ぼくは、くらやみのなかで、ずっとすごしていくのだとおもうの。
たくさん血がながれたら、
高槻さんが手をあてる。
毎日のくらやみの中で、
その時間だけは、食事のときみたいに好きかもしれないっておもっていた。
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