冷たい朝
くらやみ
高槻さんの部屋についたら、彼はあからさまに嫌な顔をした。
顔をしかめながら、たばこを吸っている。
「お前が来ると、何つーか、面倒くさい」
「そうなの?」
「お前他の奴よりボコボコにされてくる」
「う?」
高槻さんは、切れ長の目に黒髪で、
体にさわって治療するときは眼鏡をかけているよ。
「手、見せろ」
「うんうん」
針で穴のあいた手をみせたら、
彼は大きな声でため息を吐いたの。
「良かったな、縫わなくていい」
「よかった?ぬわない?」
「お前、慣れすぎてショック死しないから、
麻酔使わないように言われてる。
麻酔もお金かかるからな」
「なに?」
「もう良い、やっぱお前面倒くさい」
彼がぼくの手にふれる。
いたいけれど、なぜだかほんの少しほっとする。
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