冷たい朝
くらやみ
「ん?いいよ。
ほら、名無しちゃん。
春が絵本くれるって。
と言っても、これ施設の本だけどねぇ」
施設長さんが笑って、ぼくに絵本をわたす。
それを胸に抱いたら、なんだかあたたかい気がしたよ。
「行きますよ、春」
「……は、はい」
春はくもったような表情をして、レンさんの後ろをついて部屋をでていったよ。
これから、一緒にすむんだって。
ぼくは外にはでられないって施設長さん言っていたから、
朝はまだみられないけれど、
でも、この絵本があるから、いいの。
「あーあ。蓮も春もいっちゃった。
あの2人は結構お気に入りだったんだけどなぁ。
綺麗だし、心があるしね。
まあ良いや。時が来たらまた迎えに行こっと。
しかしさあ、名無しちゃんは、本当につまらないよね。
不出来だね」
胸にだいていた絵本がうばわれて、
うえからしたへ、思いきり本をねじられる。
そんなことしたら、やぶれてしまうの。
「お気に入りがいなくなるとさあ。
やっぱり苛々するんだよね」
びりっと紙がやぶれるおとがした。
さっき春がよんでくれたえほんが、やぶれている。
「あ、やぶれるの。
くっつけないと、なおさないと」
「え?なんで?」
「ぼく、もらったの」
「名無しちゃんはこの施設の所有物でしょ。
僕は施設の長で、所有物の持ち物は好きにして良いんだよ」
「そう……なの」
明るくて、あたたかなお日さまが、びりびりになっていく。
ぼくはもう、それが見れないの。
お日さまがなくなったから、きっとまた、くらやみだ。
「ほんとお前ってさあ。面白い顔しないよね。
やだやだって泣いたら可愛げあるのに」
「ないたら?なくって?」
「あーあ。ほんと、五月蝿いだけ」
かみのけがつかまれて、床にたたきつけられたよ。
ほっぺたが、じんじんして、あついの。
悲しくなる・・(´;ω;`)
クソジジイ!
地獄に落ちろー(*`Д´)ノ!!!