温かな春~(同性)小説サイト~

冷たい朝

くらやみ

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春はそれから、絵本を声にだしてよんでくれたよ。

どんなに泣いても、
かなしくても、
落ち込んでも、
つめたくても、

ねむれば朝はやってくるんだって。


「朝って、すごいの」

「そうだね」

「ぼくも、いつか朝が見られるかな?」

「うん、きっと」


ぼくは、春が好きになったよ。
春のことも、この絵本のことも、すき。

どんなに目を凝らしても、朝はみえないけれど、
この世界のどこかに、あるんだって。


「ぼくはいつか、みたいの」

「うん」

「その絵本は、どこでもらえるの?」

「……君は、知らないかなぁ。
絵本がたくさん置いてあるお部屋があるんだよ。
文字が読めるのも、たくさん本を読んだから」

「ぼくは、ここから出たらダメって言われてるの」


施設長さんは、ぼくがこの部屋から出たらいっぱいいっぱい怒るよ。


「……そっかぁ。
あの人は、あまり怒らせない方が良いね」


おはなししていたら、ドアが開いて、
施設長さんと、春によく似た男の人がはいってきたよ。


「春、ここにいたのですか。
行きますよ」

「……あ、ごめん、なさい」


春によく似た人は、"レンさん"って呼ばれてるよ。
ずっと前からこの施設にいる人。

春のおとうさんって聞いたことあるよ。
ずっと若いときに、春ができたんだって。


「あはは、名無しくん。春に絵本読んでもらってたの?」

「うんうん」


施設長さんは、チョコレートのお菓子をもぐもぐ食べているの。


「春は、これからは蓮(れん)と住むよ。
この施設とはさようならだ」

「春、いなくなっちゃうの?
そしたら春は、朝がみられるねぇ。
施設長さん、ぼくは外には出られないの?」

「蓮は春の父親だよ。
親が準備をして強く申し立てれば、施設は親のところに返さなければならない。
けどね、お前は駄目だよ。
だってお前、親いないじゃん」


施設長さんは、ケラケラって笑ったの。

ぼくは、うんうんってうなずいた。


おとうさんとか、おかあさんとか、よく分からないの。


「……あ、の。
そしたらこの絵本、この子にあげたら、だめ、かなぁ……」

春は、何故かたくさん震えているよ。
施設長さんにも、レンさんにも、怖いって言うみたいに震えている。


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