温かな春~(同性)小説サイト~

高槻×朝陽

夏バテ

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アイスのカップを開けてやり、それを手渡すと、朝陽は不思議そうに眺めた。

「急いで食えよ。溶けるから」

小さな舌を伸ばして先を一舐めした朝陽が、瞬きをする。
これは少し驚いているときの顔だ。

「どう?好きだった?」

「これはどうして、お口でなくなるの?
甘くて、つめたいの」

「そういう食べ物。
俺は買い物してくるからそこで食べてろ。
動くなよ」

あまり大きくは変化しないが、表情を見ればわかる。
朝陽はアイスが好きなようだ。

表現はまだまだ苦手だけれど、
いつかしっかりと気持ちを伝えるようにはなるのだろうか。


また店内へ戻ろうとする俺の服を朝陽がぎゅっと握る。


「何?」

「これ、おいし、よ?」

「知ってるよ。だから食ってろって」

少しだけ俯いた朝陽が、何か言いたげに俺を見上げる。

それからアイスをゆっくりと差し出した。


「ん」


食べてと言っているのだ。
美味しいから、俺にもそれを与えようとしている。


アイスを握っている朝陽の小さな手に俺の手を添え、引き寄せた。
一口含むと、口の中に甘い味が広がる。

久々に食べたけれど、やはり夏のアイスは美味しい。


「うん、おいしいの」


俺が食べたのに、朝陽はほのかに笑った。

人が感じている感情が、少しだけ自分にも感じられるようになってきた証拠だと思う。


「仕方ねーな。食べ終わるまで待っててやるよ」

「うん、うん」


美味しいからこそ、誰かと一緒に食べたい。

そう思うのは何もおかしいことではないし、
俺を引き留めようとしたのも、こいつなりの表現なのだと思う。


「少しは人間らしくなってきたんじゃねーの」


首を傾げる朝陽に、俺はそっと笑いかけた。


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~ Comment ~

朝陽の言動可愛くて、ヒロトは優くて、
幸せだぁ~.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.

思わずにやにやしちゃいました(*´-`)
ヒロト温かいですね♪あさひも人と何かを共感したいって思えるようになって良かったです(*^^*)

やっぱり

もこさんのお話大好きすぎます。
ほんとに大好きです。
これからも楽しみにしています♡
幸せな気持ちをいつもありがとうございます!

朝陽は、ゆっくりだけどヒロトに対して感情をあらわせるようになってきましたね。 ヒロトも冷酷、自分本位な冷たかった心が朝陽によって溶かされて行く様子が素敵に綴られて大好きです。

ヒロトと朝陽のやり取りは本当に心が温かくなりますね。
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