呟き
それぞれの不安
「ゆう、しょおと離れるの、かなしいって顔してたの」
「朝陽、お前は……っ」
何をとがめられたのか分からない朝陽が、こてんと首を傾げる。
「そっかそっか、ごめんな」
珍しく真剣な表情で謝る朝比奈さんが、悠を抱きしめる。
悠はそれを払いのけようとしながらもできずに、少しだけ眉を寄せて顔を背けた。
何だかんだ、悠も抱きしめられるのは安心するのかもしれない。
「お前も不安だったの?」
「う?」
「何か飛びついて訴えてきたじゃん」
朝陽がぼんやりと高槻さんを見つめる。
朝陽だって、分かってきているのかもしれない。
高槻さんが好きなこと、そして、離れたくないこと。
「……いっしょが、すき」
「分かった」
拙い言葉で全てを理解したというように、高槻さんが朝陽の頭を撫でる。
本気で好きだから、不安にもなるけれど、
受け止めてもらえる温もりも、確かに感じている。
「しかし、俺らも泣かせたらダメだなーちゃんと安心させないと」
理人さんの言葉に、“そうだなー”と朝比奈さんがこたえる。
「不安になったらちゃんと言えよ。
受け止めるから」
顔を覗き込まれて、ぎゅっと服を掴んだ。
いつ終わるか分からないけれど、願わくば、いつまでも。
「お酒も食べ物もあるし、全員でお話会して行ってよー」
朝比奈さんの言葉に全員輪になる。
これからも、皆と一緒に生きていけたら、どんなに幸せだろう。
春の温もりの中、世界一大好きな人に抱きしめられながらそんなことを思った。
良かった♪
朝陽がますます、いとおしくなりました(//∇//)