温かな春~(同性)小説サイト~

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それぞれの不安

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「俺だって蓮さんとさよならなんて考えたくないよ。
出来ればもう少し、もっと」

唯がおにぎりを片手に机に突っ伏すと、悠はため息を吐いた。


「……まぁ、考えてもどうにもなんねーし。
そろそろあいつら帰ってくるだろ。
春は涙拭いて、唯もその涙目なんとかしろ。
時が来た時に、縋るのか、退くのかそいつが決めた道で背中を押してやるだけ。
……俺は絶対、縋れないんだろうけど」

唯と俺が目元を拭うと、
朝陽もまた、泣いてはいないけれど、俺達の真似をするように目元をごしごしと擦った。


きっと、悠は縋れない。
悠だけでなく、俺や唯だって、きっと縋れない。
それは、一番大好きな人にとっての幸せな未来が、男じゃダメなことを分かっているから。


「……好きになるって、切ないね。胸がぎゅーってなる」


こんなに締め付けられる思いは、初めてだ。
この苦しみも、本気で好きだからこそなのだろう。


その時、2度ノックの音がしてドアが開いた。

ノックを先にするのは、主に俺が驚かないためだろう。


「ただいまー楽しくお話会してたー?」

翔さんの声が、玄関の方から聞こえる。

悠が無言でティッシュをくれ、それで目元をもう一度拭った。
笑うことはまだまだ苦手だけれど、どうしても涙は溢れてしまう。


誰も答えられずにいると、朝陽が立ち上がりおぼつかない足取りで玄関へと向かった。

そして何も言わず、ぎゅっと高槻さんの服を握る。


「あ?朝陽、何?」

「……ヒロトかえってきたの」

「そりゃ帰ってくるだろ」

「ヒロト、みんなの幸せは、どこなの?
一番の幸せって、なになの?」


高槻さんの服に皺が寄る。
表情は変わらないけれど、朝陽の手には力がこもっている。



もくじ  3kaku_s_L.png 呟き
もくじ  3kaku_s_L.png 冷たい朝
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もくじ  3kaku_s_L.png 高槻×朝陽
もくじ  3kaku_s_L.png 三上×レイ
もくじ  3kaku_s_L.png 春と朝陽
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~ Comment ~

朝陽は分からないからこその
不安があるんだろうなぁ・・
でも、ヒロトに聞けて良かった(*´▽`*)
(っ`・ω・´)っ保護者組、頼みますよ♪
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