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それぞれの不安

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「朝陽は知らないだろうからさ。話しておくよ。
一般的な家族には、父親と母親がいる。愛し合った2人」

悠の言葉は、俺の胸にも刺さった。

「男の人と、女の人だ。
2人はやがて家庭を持ち、結婚して、子どもを作る。
けれど俺達は男で、現状結婚もできなければ、子どもだって作れない」

「でも、ぼくにはおとうさんもおかあさんもいないの」

「一般的にはだって。
俺にもいないようなものだし。
だけど、自分にないからこそ作って欲しいような気もするし、
それが、幸せとされているのは事実」


悠の説明に唯は眉を下げて笑って、哀しさを払拭するようにおにぎりを頬張った。
もちろん、俺も分かってはいる。


「ヒロトの、しあわせ?」

こてんと首を傾げた朝陽が、少しだけ考えてうなずく。


「ヒロトのしあわせがいいの」


幸せに、なってほしい。
そのためならなんだってする。

けれど、理人さんが他の誰かを愛し、そして、家庭を持てば。

何もない俺はどこへ行くのだろう。


「お酒、入れてやるよ。
折角翔が用意してくれてるし。
何か呑みやすいシャンパンらしいから」


悠は大きなため息を吐いて、それぞれのグラスにお酒を注いでいく。


「実際さ、何が幸せかなんて、分からないよね。
好きだからこそ手を引くとか、そんなことできそうにもないよ」

唯の言葉に、頷いた。


「俺も何回も理人さんから手を引こうとしたよ。
でも、その度に戻ってきてしまった。
幸せになって欲しいのは、嘘いつわりないんだけど、何か難しいね」

「俺らはさ、いつかさよならする時が訪れた時、
世界を憎むかな。
永遠なんかなかったって言うのかな」


悠が吐き捨てるように言い、全員の前にグラスを渡す。
それを一口、含んだ。

甘い炭酸が、口内を刺激する。


「……それでもきっと、憎んだりしないと思う。
理人さんと会えたことを、憎むなんて、できない」


きっと、泣いてはしまうのだろうけれど。

考えると胸が締め付けられるようになるのは、皆も同じなのかもしれない。


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もくじ  3kaku_s_L.png 冷たい朝
もくじ  3kaku_s_L.png 理人×春
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