温かな春~(同性)小説サイト~

翔×悠

ホラー特番

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「ねぇ悠、見なくてもいいよ?」

「……別に、怖くない」


”見なくてもいいよ”は言葉の選択を間違ったかもしれない。
テレビでたまたま流れたホラー特番に対して、悠は顔色1つ変えず食い入るように眺める。

が、少し握りこんだ拳とか、
瞬きの多さとか、

俺には、悠が怖がっているのが分かってはいる。


そもそも暗いのは大の苦手な悠だ。
こうして暗い場所を歩く話はより怖いのではないだろうか。

「お化けが怖いの?暗いのが怖いの?」

「どっちも怖くないし」


悠は、怖くないフリをするのが、哀しい程上手だ。


「もーらった!」

「……っ」

戯れに悠の手を握ると、
彼は一瞬驚いて俺の顔を見る。


それから顔を伏せて、息を吐いた。


「……なんだ、翔か」


俺以外誰だと思ったというのだろう。
握った手はじんわり汗ばんでいて、気づかれないようにしながらも怖いのだろうと再確認する。


「手離したくないなー」

「お前、うるさい」


暴言を吐きながらも、自らは手を離そうとはしないから、
ホラー特番に多少の感謝もしてしまう。

画面が真っ暗になったり、大きな音が鳴る度にほんの少し力む手に、
早く抱きしめてやりたい気持ちと、もっと縋ってほしい気持ちが入り混じる。


俺にはやっぱり、多少Sの気があるのかもしれない。


と、その時、大きな音と共に、画面に女の人の顔が映りだされた。
これにはさすがの悠も驚いたようで、ぴくっと肩が飛び跳ねる。



悠が少しだけ眉を寄せてこちらを見てくるので、思わずそのまま抱きしめた。


胸に手をあてたらそこは案の定鼓動が早い。


「……手っはなして」

「いやー」


鼓動の速さを悟られるのが恥ずかしいか、必死に手を振りほどこうとするが、離してやらない。


「こっち見て」

少しだけ悔しそうな悠と、目が合う。
胸にあてた手の鼓動が、少しずつ落ち着いていくのを感じた。


「俺の顔見てると落ち着くでしょ?」

「……うっせ、うざい」


安心の材料になっていると思うだけで優越感に浸ることができる。

――ホラー特番も、たまには良いかもしれない。




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