翔×悠
プレゼント①
悠①
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翔には、癖がある。
帰宅した時に、春からもらったひよこさんを、ぽんぽんと撫でるのだ。
よほどひよこが好きなのか、戯れにしているのか、分からない。
理由を聞いたことはあるけれど、教えてはもらえなかった。
「いつも何撫でてんの。
俺がもらったものなんだけど」
「えー?もしかして、悠こんなひよこに妬いてんのー?」
馬鹿じゃないのかと思う。
そんな会話をした数日後、バイトでの初給料が出た。
「はい。確か手渡し希望だったよね。
お疲れ様。今日はもうあがっていいよー。
確か職歴なかったでしょ。始めてのお金で、親に何か買ってあげたら」
「……はい」
親、か。
あの人たち、今頃何しているのだろう。
母さん、笑ってんのかなぁ。
時計を見ると、いつもあがる時間より30分早かった。
翔に連絡を入れて先に帰っても良いが、
あと30分後にはどうせ翔の迎えが来る。
封筒の中には、数枚の万札が入っていた。
俺が働いて得たお金だ。
家に住まわせてもらって、食事や睡眠もしている訳だから、このお金は翔に渡すべきだろうと思う。
少ないと笑われるかもしれないし、
ようやく持って来たなと喜ばれるかもしれない。
どちらにせよ、なんとなく怖さはあった。
駐車場を出ると、ふいに向かいにぬいぐるみの店を見つける。
店頭にはひよこのぬいぐるみが数匹並んでいるのが見えた。
"始めてのお金で、何か買ってあげたら"
ーーいや、あり得ないだろ。
だいたい、あんなの買って翔が喜ぶとも思えないし、
馬鹿にすんなと捨てられるかもしれない。
捨てる、という単語が脳によぎれば、気持ちが悪いような気もした。
余計なことは、きっとしないべき。
"春君のひよこさん、可愛いよね"
玄関に入るたびひよこさんを撫でる翔の姿が浮かぶ。
ひよこが好きなのであれば、
もしかしたら、嬉しかったりするのだろうか。
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翔には、癖がある。
帰宅した時に、春からもらったひよこさんを、ぽんぽんと撫でるのだ。
よほどひよこが好きなのか、戯れにしているのか、分からない。
理由を聞いたことはあるけれど、教えてはもらえなかった。
「いつも何撫でてんの。
俺がもらったものなんだけど」
「えー?もしかして、悠こんなひよこに妬いてんのー?」
馬鹿じゃないのかと思う。
そんな会話をした数日後、バイトでの初給料が出た。
「はい。確か手渡し希望だったよね。
お疲れ様。今日はもうあがっていいよー。
確か職歴なかったでしょ。始めてのお金で、親に何か買ってあげたら」
「……はい」
親、か。
あの人たち、今頃何しているのだろう。
母さん、笑ってんのかなぁ。
時計を見ると、いつもあがる時間より30分早かった。
翔に連絡を入れて先に帰っても良いが、
あと30分後にはどうせ翔の迎えが来る。
封筒の中には、数枚の万札が入っていた。
俺が働いて得たお金だ。
家に住まわせてもらって、食事や睡眠もしている訳だから、このお金は翔に渡すべきだろうと思う。
少ないと笑われるかもしれないし、
ようやく持って来たなと喜ばれるかもしれない。
どちらにせよ、なんとなく怖さはあった。
駐車場を出ると、ふいに向かいにぬいぐるみの店を見つける。
店頭にはひよこのぬいぐるみが数匹並んでいるのが見えた。
"始めてのお金で、何か買ってあげたら"
ーーいや、あり得ないだろ。
だいたい、あんなの買って翔が喜ぶとも思えないし、
馬鹿にすんなと捨てられるかもしれない。
捨てる、という単語が脳によぎれば、気持ちが悪いような気もした。
余計なことは、きっとしないべき。
"春君のひよこさん、可愛いよね"
玄関に入るたびひよこさんを撫でる翔の姿が浮かぶ。
ひよこが好きなのであれば、
もしかしたら、嬉しかったりするのだろうか。
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