翔×悠
可愛い定員
「お決まりでしたら……どうぞ」
ほんの少しぶっきらぼうに呟く悠につい楽しさを覚えてしまう。
「じゃあチキン南蛮弁当で」
「はい、400円です」
出来るだけ目を合わせないようにする悠も、
お金を受け取ろうとする小さな手も、本当にかわいい。
家に帰ったらその手をぎゅっと握ってやろうと決意する。
必要以上に見つめれば、
彼はむすっとして一瞬だけ睨んでくる。
満面の笑みを見せてやると、少しだけ狼狽えたような表情をした。
悠は最近特に、何だかんだ俺を意識していると思う。
「チキン南蛮弁当のお客様、お待たせしました」
悠が袋に丁寧に弁当を詰めて俺に渡す。
先ほどまで隣にいた年配の女性は、キッチンの方へ行っていた。
「あと少し、頑張ってね」
「ばーか」
受け取ろうとしたその手が、悠に触れる。
すぐに手を引かれることを予測したが、彼の人差し指が、そっと俺の手を追った。
人差し指に手の甲を撫でられて、驚いて眺めたら、
彼の頬は紅潮していた。
「……来るなよ、家帰ったら普通に会うのに」
「えー?だめー?」
「それなりに、動揺する……から」
眉を顰めながらも、指だけは俺を追う悠に、今すぐ抱きしめたい気持ちを必死に抑えた。
俺は、また定期的にこの可愛い店員に会いに行こうと、心に決めたのだった。
~ Comment ~
Re: タイトルなし
これからも2人の絆が府勝手いくこと期待していてくださいw