蓮×唯
看病④
結局、ただのお粥にどれくらいの時間をかけただろうか。
茶碗を手のひらにのせた唯が、どこか不安げにそれを持ってくる。
「一応出来たけど……っ!」
茶碗の中をのぞけば、人参が歪な形で入っているのが見えた。
水の量が少なかったのか、お粥と言うにはご飯がかために見える。
台所に目を向ければ、お粥くらいで何故そうなるのかというくらい散らかっていた。
「食べて!食べてみて」
唯がしっぽを振る犬に見える。
一口含めば、それは信じられないほど濃くて、
病人食の味付けとはとても言い難い。
「どう?どう?」
「濃い」
「え!えええ!?水、水たしてくる!!」
「やめなさい、もう良いから」
茶碗を取り上げようとした唯の手を掴み、じっと見つめる。
私に見つめられるとすぐに赤くなる唯が、案の定頬を染める。
「食べれますよ。ありがとう、唯」
「ど、どどどどどういたしまして!」
不器用だし、何の変哲もない子だけれど、
一生懸命さと、どうやら私のことが好きらしいことは伝わる。
春にもらった、一輪の花が、視界に入る。
ーー幸せを、願う花。
「痛くないように、手握ってるから!眠ってね!」
「子どもですか、私は」
ひたむきに思ってくれる気持ちとか、この手の温もりとか、
こんな小さなことで良いなら、幸せはあるのかもしれない、と馬鹿なことを思った。
蓮さんの口調が変わるのカッコいいと
思います!!