三上×レイ
ほんの少し、温かな春②
「遠くから」
「ん?」
「遠くからなら見たい」
まだ会う自信がないというレイに、確かにいきなり会わせるのも酷だろうかと思う。
レイの頭の中は、幼い頃からずっとルイでいっぱいだったのだ。
決別も、拒絶も、大きな意思のもとで行っていた。
「じゃあ覗くか。ちょうどこの時間なら、つく頃は自由時間で庭に出ているかもしれない」
「覗くだけなら」
「それならパスタ半分食べてやるから、
それだけ食べて準備しろよー」
少しだけ唇を噛んだレイが、仕方なくパスタの前に座る。
向かいからフォークで半分程俺の皿に移してやると、口にし始めた。
入院中もそうだったが、別に食べられない訳ではない。
ただ、美味しそうな顔も、まずそうな顔もしない。
ただ咀嚼しているだけ、という感じ。
食べ終わると、レイは俺のパーカーを羽織った。
ここからルイのいる施設へは、電車で2駅程だった。
予想通り、庭には何人かの施設の子が出ていた。
日向ぼっこしたり、花に水をやったりしている。
その中に、ルイはいた。
花壇の前に座り、同じ年くらいの男の子と何やら話をしている。
距離があるので、向こうはこちらには気づいていないようだ。
「あそこにルイいるぞ」
「……わかってる」
レイは時が止まったように動かず、ただルイを見つめていた。
食事もしっかりとれているのだろう。
血色もよく、初めて会ったころよりも肉付きがよくなったように感じる。
その時、ルイが隣の男の子に話しかけられ、微笑んだ。
綺麗な笑みだ。
「ルイ、笑ったな。
ここは本当に良い施設だからな。
きっと良くしてもらってるだろう」
レイの返答がなく、そっと顔を覗き込めば、
彼はこれまでに見せたことのない微笑みを見せていた。
「うん」
まっすぐにルイを見つめるレイの顔が、本当に本当に幸せそうで。
「ルイの幸せがお前の幸せなのか」
「そうだね」
「お前の幸せも見つかるといいな」
ルイの笑顔を、これまでにないくらいの柔らかな笑みを見せるレイが、本当に小さく見える。
「ん?」
「遠くからなら見たい」
まだ会う自信がないというレイに、確かにいきなり会わせるのも酷だろうかと思う。
レイの頭の中は、幼い頃からずっとルイでいっぱいだったのだ。
決別も、拒絶も、大きな意思のもとで行っていた。
「じゃあ覗くか。ちょうどこの時間なら、つく頃は自由時間で庭に出ているかもしれない」
「覗くだけなら」
「それならパスタ半分食べてやるから、
それだけ食べて準備しろよー」
少しだけ唇を噛んだレイが、仕方なくパスタの前に座る。
向かいからフォークで半分程俺の皿に移してやると、口にし始めた。
入院中もそうだったが、別に食べられない訳ではない。
ただ、美味しそうな顔も、まずそうな顔もしない。
ただ咀嚼しているだけ、という感じ。
食べ終わると、レイは俺のパーカーを羽織った。
ここからルイのいる施設へは、電車で2駅程だった。
予想通り、庭には何人かの施設の子が出ていた。
日向ぼっこしたり、花に水をやったりしている。
その中に、ルイはいた。
花壇の前に座り、同じ年くらいの男の子と何やら話をしている。
距離があるので、向こうはこちらには気づいていないようだ。
「あそこにルイいるぞ」
「……わかってる」
レイは時が止まったように動かず、ただルイを見つめていた。
食事もしっかりとれているのだろう。
血色もよく、初めて会ったころよりも肉付きがよくなったように感じる。
その時、ルイが隣の男の子に話しかけられ、微笑んだ。
綺麗な笑みだ。
「ルイ、笑ったな。
ここは本当に良い施設だからな。
きっと良くしてもらってるだろう」
レイの返答がなく、そっと顔を覗き込めば、
彼はこれまでに見せたことのない微笑みを見せていた。
「うん」
まっすぐにルイを見つめるレイの顔が、本当に本当に幸せそうで。
「ルイの幸せがお前の幸せなのか」
「そうだね」
「お前の幸せも見つかるといいな」
ルイの笑顔を、これまでにないくらいの柔らかな笑みを見せるレイが、本当に小さく見える。
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