温かな春~(同性)小説サイト~

思いのままに小説を書いたり、twitterでのリクエストにこたえたり、 作品に対する思いや秘話など語っていくサイトです。「冷たい春」の番外編を主に書いていますので、本編がまだの方は本編の方からぜひ読んでみてください!(Twitterに本編URLあります) twitter:@moco_ice

宝物

理人×春




―――――――――――――

俺には宝物がある。
理人さんにもらった、指輪のネックレスと海色のネックレス。

毎朝つけて、お風呂に入る前に外す。

いつもどちらをつけるか本当に悩むから、
もう悩まないように交互につけるようにした。


けれど、時折指輪は指にはめたくもなる。

左手の薬指に指輪をつけるのは、”ずっと一緒にいましょう”の意味だと理人さんは言っていた。


ずっと一緒、なんてことが本当にあるのか不安ではあるけれど、
俺は、そう言ってもらえたことが嬉しかった。

外で指輪は目立つからと理人さんはわざわざネックレスにしてくれたから、
彼の前でつけたいなんて言うのは、駄目なことかもしれないと思ってしまう。


彼がまだ眠っている朝、
俺は布団を抜け出してサイドテーブルへと向かった。

指輪のチェーンを外し、それをそっと薬指にはめる。


サイズがぴったりで、心が温かくなる。


ずっと、一緒だって。
ずっと一緒だって。


口約束だとしても、嬉しい。


「何してんの?」

背後から声が聞こえて、慌てて指輪を外そうとする。

その手を上から握った理人さんが、俺の顔を覗き込んで笑った。


「指輪、はめてんの?」

「え、えと……」

「たまにははめたいと思ってくれた?」

「あ……ネックレスもうれしくて、でも、指輪もうれしくって、その」

「うん、ずっと一緒にいよう」


一度指輪を外した理人さんが、もう一度ゆっくりと俺の指にそれをはめてくれる。


また、言ってくれた。


それから、背後からしっかりと抱きしめてくれる。


理人さんにもらった物が、
1つ1つの言葉が、毎日が、


俺にとっては宝物だ。

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ホラー特番

高槻×朝陽


高槻

―――――――――

たまたまついていたホラー番組を、朝陽は食い入るように見ていた。
やはり”怖い”という感覚はあまり分からないのか、
口を開けてぼんやりとそれを見ている。

「ヒロト、まっくら」

「まあ、こういうのは無駄に暗いからな」

表情1つ変わらない朝陽に、チャンネルを変えてやろうとも思うが、
あまりに食い入るように見ているからわざわざ変える気持ちにもならない。


まあこんなの、怖くもないよな。
そもそも感情は希薄な朝陽だ。
もっと怖い経験はたくさんしてきたと思うし、
むしろ、そっちの方が日常だったのだから。


大きな音と共に、画面いっぱいに女の人の顔が出てくる。
明らかに驚かせようとしているが、
朝陽はそれにも特に反応を見せない。


「飯、作るかー」


立ち上がると、ふいに服が引っ張られる感覚がした。

驚いてみると、朝陽が俺の服を掴んでいる。


「行く、や」

「は?行くなっていってんの?」


うんうんと頷く朝陽に、大きなため息を吐く。

行くなって言ったって、勝手にご飯は湧いてこないっつーのに。


「おいおい、離せって」

「や」


よく見ると、朝陽の手に力が入っている。
表情こそ変わらないが、じっと俺の顔を見つめているのだ。


「……もしかして、怖かった?」

「ヒロト、行かない」


首を振る朝陽がほんの少しだけ可愛く思えて、仕方なく隣に座る。
彼は納得したように、うんうんと頷いた。


”お化け”とか”ホラー”とかて少しでも怖いと思ったなら、
”怖い”を知らなった朝陽の成長ではないだろうか。


少しずつ様々な感情が出てきた朝陽が落ち着くまで、
仕方なく隣に座っていた。





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ホラー特番

蓮×唯




―――――――――――――――

困ったことが起きた。
今、蓮さんと一緒にホラーの特番を見ている。

俺は、全くもってお化けというものが怖くないのだ。

ここは、きゃーとか、わーとか言って怖がっている方が可愛げがあるものだと思うのに、
お化けよりもよほど人間の方が怖いと思ってしまう。
施設長の方が数百倍は怖い。


もちろん蓮さんも怖がるはずがなく、
2人でただただ鑑賞するだけの時間になってしまっている。


ここは無理にでも、怖がるべきではないだろうか。
折角蓮さんにくっつくチャンスなのだ。


「きゃ、きゃー」

顔を覆って蓮さんの傍に寄ってみる。
思いの外棒読みになってしまったが大丈夫だろうか。


「怖がってるんですか?」

意外とばれてはいないようだ。


「こ、こわい」

ぎゅっと蓮さんの腕を掴んでみる。

「こういうの怖がる人って、可愛いですよね」

「きゃーこわいー」

「……ふは」


蓮さんがそっと笑うような声が聞こえた。
思ったよりも綺麗に笑っていて、心臓がどきどきする。


「唯、分かりやすすぎ」

蓮さんには何でもお見通しで、
きっと、俺の必死さを見るためだけに言った台詞。


「近づきたいなら、そう言えばいいのに」


蓮さんには、適わない。
俺は蓮さんが、大好きだ。


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ホラー特番

翔×悠


「ねぇ悠、見なくてもいいよ?」

「……別に、怖くない」


”見なくてもいいよ”は言葉の選択を間違ったかもしれない。
テレビでたまたま流れたホラー特番に対して、悠は顔色1つ変えず食い入るように眺める。

が、少し握りこんだ拳とか、
瞬きの多さとか、

俺には、悠が怖がっているのが分かってはいる。


そもそも暗いのは大の苦手な悠だ。
こうして暗い場所を歩く話はより怖いのではないだろうか。

「お化けが怖いの?暗いのが怖いの?」

「どっちも怖くないし」


悠は、怖くないフリをするのが、哀しい程上手だ。


「もーらった!」

「……っ」

戯れに悠の手を握ると、
彼は一瞬驚いて俺の顔を見る。


それから顔を伏せて、息を吐いた。


「……なんだ、翔か」


俺以外誰だと思ったというのだろう。
握った手はじんわり汗ばんでいて、気づかれないようにしながらも怖いのだろうと再確認する。


「手離したくないなー」

「お前、うるさい」


暴言を吐きながらも、自らは手を離そうとはしないから、
ホラー特番に多少の感謝もしてしまう。

画面が真っ暗になったり、大きな音が鳴る度にほんの少し力む手に、
早く抱きしめてやりたい気持ちと、もっと縋ってほしい気持ちが入り混じる。


俺にはやっぱり、多少Sの気があるのかもしれない。


と、その時、大きな音と共に、画面に女の人の顔が映りだされた。
これにはさすがの悠も驚いたようで、ぴくっと肩が飛び跳ねる。



悠が少しだけ眉を寄せてこちらを見てくるので、思わずそのまま抱きしめた。


胸に手をあてたらそこは案の定鼓動が早い。


「……手っはなして」

「いやー」


鼓動の速さを悟られるのが恥ずかしいか、必死に手を振りほどこうとするが、離してやらない。


「こっち見て」

少しだけ悔しそうな悠と、目が合う。
胸にあてた手の鼓動が、少しずつ落ち着いていくのを感じた。


「俺の顔見てると落ち着くでしょ?」

「……うっせ、うざい」


安心の材料になっていると思うだけで優越感に浸ることができる。

――ホラー特番も、たまには良いかもしれない。


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ホラー特番

理人×春


リクエスト:全CPがホラー特番を見たら

―――――――――――――――――

テレビの中に、暗い病院が映し出されている。
俺は、理人さんの服を掴んで目を細めてそれを眺めていた。

テレビをつけていたら突然ホラー番組が始まった。
理人さんはチャンネルを変えようとしてくれたけれど、俺がそれを拒否したのだ。

ホラーに慣れれば、少しはこの怖がりな性格も治るかもしれない。

悠も朝陽も唯も、少しずつ前に進んでいるのだ。
俺だって、変わらないといけない。


「春、やっぱチャンネル変えよっか?」


ぶんぶん首を振ってぎゅっと彼の服を引っ張る。
彼がいるなら、きっと大丈夫なはずだ。


画面がぐるぐると回りながら、怖い雰囲気で病院内のトイレへと向かう。

ドアを開けた瞬間、テレビの中で、突然女の人が大きな声を上げた。


「……っや」

「はは、怖かった?」


頭を撫でられて、目に涙が浮かぶ。


「あんな、あんな大きな声出さなくてもいいのに……っ
び、びっくりする、から」

「そんな風にして怖がらせようとしてるんだよ」


1つの話が終わると、理人さんがチャンネルを変える。

「ま、びくびくする春も可愛かったけど、今日はこの辺りにしておこうか」


まだ高鳴っている心臓で、必死に頷いたら、彼はそっと笑った。


「作り物だから、大丈夫」

「……うん」


彼の言葉は、魔法だと思う。

今まで怖くてたまらなかったのに、一瞬にして和らぐのだ。


「大きな音出すのは、反則……」

「ん、そうだな」


宥めるように、彼が俺の手を繋ぐ。
それだけで、信じられない程落ち着く。

大きな音はまだまだ怖いけれど、
彼の一緒なら、少しずつ慣れていけると思う。

どうか彼と、もっと、ずっと一緒にいられますように。



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Author:もこ
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メール:mocoice21@gmail.com

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